良源
良源は平安時代の人で、元三大師という通称で知られている天台宗の僧です。比叡山延暦寺は、935年に起きた火災、彼が天台の座主に着いた966年に起きた火災により、多くの塔を失ない荒廃してしまっていたのですが、それを再建した功績により比叡山延暦寺の中興の祖と言われています。
また、彼は横川(よかわ)常行堂で「称名念仏(仏の名を口にして称える念仏)」をはじめて行なった人ですが、これがのちの浄土教のルーツとなっています。そういう意味で日本の仏教における重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。
他にも、現在神社などでみかける「おみくじ」を考え出したのも良源なのだそうです。
その良源が、亡くなる前に遺言のようなものを記しています。この遺言の中に石製のお墓を建てるよう弟子に指示しており、これは石製のお墓の建立についての、文書に残っている日本最古の記録だといわれています。それは弟子宛のもので「生前に石卒塔婆をつくる段取りをしておきたい。死に間に合わない場合は穴の底に骨を埋めて仮の卒塔婆を建てておき、49日までには石の卒塔婆を作り、建て替えよ。これはお前たちがお参りするための目印となるものだから卒塔婆の中には真言(仏の言葉)を安置せよ。生きているうちに、その真言を書いてしまいたい・・・」とあるのだそうです。石製の卒塔婆はそれ以前からあったのかもしれませんが、記録に残っているものはこれが最古のようで、お墓の歴史の中では重要な事実となります。
この文から、生前に建てようとしていること、弟子がお墓参りをすることがうかがえます。この卒塔婆がどんなものだったのかは不明ですが、良源がまつられているとされている「御廟」の森にある石塔がそうではないかといわれています。
お墓の歴史は脈々と今に受け継がれています。今度お墓参りに行かれた時は、そのことに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
2013年5月28日
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