お墓に歌を彫りたい
ときおり、お客様から「故人の好きだった歌の歌詞を彫刻したい」というご依頼を受けることがあります。
歌詞を彫る場合、クリアしなければならないことがあります。
著作権です。
著作権法は、著作物の創作者である著作者に著作財産権や著作人格権という権利を与えて、その利益を保護しています。また、著作物に密接に関与している実演家、レコード製作者、放送事業者などに対して著作隣接権を与え、これらの者の利益も保護しています。
むずかしく言ってしまいましたが、歌詞について言えば、著作権者に無断で著作物を複製することは許されないことになっているのです。
一方で、著作物は一定範囲内なら自由な使用を認められています。一定範囲とは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」いわゆる「私的使用」なら複製が自由に行えるのです。
お墓にお参りする方は通常親族や故人の親しい人に限られるので、その点で言えば「私的使用」の範囲のように思われます。しかし、お墓は室内に置かれているのではなく、不特定多数の方が訪れる場所に建っています。そうすると、不特定多数の方がその歌詞を目にすることができるので、それは「私的使用」の範囲を超えているのではないかと思われます。
そう考えると、歌詞を彫刻するときには著作権者の承諾が必要になってくると思われます。具体的には著作権の管理団体に問い合わせるのがよいと思われます。なお、著作権には保護期間があります。著作権者の死後50年が保護期間だということですので、それも確認する必要があると思います。保護期間を過ぎていれば彫刻するのには問題ないからです。
故人のためにしてあげたいという想いは大切ですが、こういった問題もクリアしていく必要があるのですね。
(ここでの法解釈はひとつの解釈です。他の解釈がある場合もありますので、ご了承ください)
2013年7月23日
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