鋸山1
千葉県房総半島に鋸山(のこぎりやま)という標高330m弱の山があります。山全体が凝灰岩でできており、建築石材に適した良質の石材が算出していました。(文章が過去形になっているのは、もう今では採石は中止されているからです)ここで採れる石はかつて房州石と言われ、江戸時代から盛んに採石され、明治時代以降は東京湾の対岸である横須賀軍港・横浜港などの建造に使われていました。
鋸山は乾坤山ともいい、曹洞宗日本寺の寺域になっています。その歴史は古く、725年に行基によって開山されたといわれています。
開山当初は法相宗だったのが、平安時代に円仁という僧が入寺して天台宗になり、江戸時代に曹洞宗に改宗したのだそうです。
寺は隆盛と衰退が激しく、復興のために古くは源頼朝、足利尊氏の援助を受けたりしたということです。明治になってからは、明治初めの廃仏毀釈や昭和になってからの失火などで残存する建物は多くはないのだそうです。
石切り場としては、もともとは江戸安政年間に伊豆からやってきた石切職人によって、下石といわれる加工のしやすい柔らかい建築材の生産が始まりました。その後慶応年間の頃には加工はしにくいが硬い良質の石(上石)の採石が始まったそうです。明治時代には京浜方面へ盛んに移出されました。しかしその後セメントなどに追いやられ,戦後には大谷石にとって変わられ,自然保護規制のため昭和57年を最後に現在ではまったく採石されなくなってしまいました。
次回からはこの鋸山のことをお話ししたいと思います。
2014年12月23日
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