ひき臼
現代ではもう「ひき臼」と言われるものは、なかなかお目にかからなくなってしまいました。その昔、ひき臼は穀物の粉を精製するのになくてはならないもので、石臼でできるものといえばきな粉、はったい粉・だんご粉・うどん粉・そば粉・そうめん・豆腐ほか地方独特に工夫された様々な食材を作るのに使われてきました。
臼を使って粉をひくときは、すこしずつ穀物を入れて、時間をかけて人力でゴロゴロと臼を回して粉を精製していきます。1回転させるのに2秒くらいかけるのがよいそうですから、ゆっくりとじっくりと時間をかけて精製していったのですね。
現代ではそういった粉類はお店に行けば完成品が売っていますが、それらの製法は機械で大量に精製するため、どうしても食品の成分を高い温度で壊したり、加工中に急速に酸化させてしまうので、栄養素が壊れやすくなってしまうのだそうです。その点、石臼びきの場合はその食品の味やコク、香りを最大限に引き出すことができるのだそうです。
ただし、石臼びきにも欠点があり、表皮成分も一緒にひいてしまうため、パンは黒くて硬くごわごわした感じになりがちで、うどんはぼそぼそとした食感のくすんだうどんになりがちなのだそうです。そういったものを「素朴」だということで評価する人もいますので、好き好きということになるのでしょうか。
その昔、ひき臼が各農家にあった時代は、臼は地元の石屋さんが作っていたそうで、今でも石の産地では石臼を製造販売しているお店もまだあるようですよ。気をつけてほしいのは、通販で販売している安価な商品には、石臼の構造をよく知らない外国製のものがあり、まともに精製できない粗悪品もあるということです。もし、興味を持って購入しようと思われる方はぜひ気をつけてください。
2014年12月16日
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