湯の花（いのはな）トンネル１

８月になりました。まもなく終戦記念日がやってきます。
世界では戦争が続いている国もありまして、ウクライナ上空では民間飛行機が撃ち落されたり、イスラエルガザ地区では連日民間人が大量に殺戮されたりしました。日本でも第２次世界大戦末期に、沖縄で民間人が米軍に殺されたり、広島・長崎の原爆で多くの民間人が亡くなったり、空襲で多くの町が焼かれたりしました。戦争で民間人が犠牲になるのは昔も今も変わりません。
今回お話しするのもそんな事件で、６９年前の今日（８月５日）に起こったのでした。

１９４５年になると、戦局は日本に不利になり、連合国軍（特に米軍）の空襲・爆撃が続きました。日本軍は本土防衛用のまとまった航空機を用意していましたが、弾薬・燃料だけでなく操縦士さえも数が減りすぎていて迎え撃つことなどできない状態でした。ですので、米軍機などの侵入をやすやすと許していたようです。ですから連合軍の飛行機は軍事施設や公共施設への爆撃を繰り返していました。
そんなある日（８月５日）のお昼すぎに長野行の電車が東京の浅川駅（現在の高尾駅）を出発しようとしていました。この列車は８両編成でしたが、前の電車が八王子駅を出なかったため大変混雑していたのだそうです。新宿を10：10に発車したのですが、八王子駅が空襲で消失していたり、車両交換作業などもあり浅川駅を１時間遅れでの発車となりました。
そのときすでに空襲警報も発令されていたようなのですが、客から早く出発しろなどの怒声があり、この先の湯の花（いのはな）トンネルや小仏トンネルに入ってしまった方が空襲に対して安全という判断もあり、出発させたのだそうです。

はたしてこの列車は、湯の花トンネル付近で米軍のＰ５１という戦闘機３機（２機という説もあり）に機銃掃射とロケット弾を受けました。ロケット弾は外れたそうなのですが、先頭の機関車と１両目の車両が激しく銃撃されたせいか、２両目の半分がトンネル内に入ったところで列車は停車してしまいました。トンネルに入らなかった車両が反復して機銃掃射に晒されたため、被害が大きくなったと言われています。
結局、負傷者１３０名以上、死者は５２名以上（４９名、６５名などという話もあります）が出るといった、民間人が巻き込まれたうちでは大きな事件となってしまいました。

次回に続く

2014年8月5日